「だけどさ、なかなかいないものよ。自分の思った通りの男に出会うのはさ。直美なら今まで二、三人はいたんじゃないの!? かれこれ一ヶ月も断り続けているけど」
 がっかりしたままノアは今日も教室に入る。
「ノアはいいよ。美人だからいざとなれば男から声をかけてくれるから。私はダメね。理想な人がいないから」
 いかにも羨ましくノアを思い、教室を入ろうと足を踏み出したら、 
「直美! 今朝も告白されたって? なんでも上級生と聞いたけど、本当!? 」
「たしか昨日の放課後も言われたでしょ!? なんでこうも続けて直美ばかりだろう」
 取り巻きみたいなクラスメート達が私達を囲む。
 その一方で敵対視をする視線を感じているんだけど、
「大丈夫大丈夫。直美、ちゃんと断っているから」
 陰険なムードになる前にノアが間に割り込んでくれるから安心できる。
 まるで芸能人とマネージャーが報道記者達に囲まれている状況に近い。
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